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3/3拡大研究会【オンライン開催】一般発表

2024-02-27 | EVENTS / ACTIVITIES

2023年3月3日(日)開催の「日本STEM教育学会 拡大研究会【オンライン開催】」の一般発表の内容を掲載いたします。

開催概要・プログラム内容および参加お申し込みは、こちらよりご確認ください。

 

■一般発表 分科会A 
座長:反田 任(同志社中学校・高等学校)

A-1)「「食」をテーマにした探究的な学習プロセスの「S T E A M化」とI C Tツール活用による「主体的な学び」の促進の考察~中学1年生の英語授業「Our School Meals Project」の実践より~」
反田 任(同志社中学校・高等学校)

本研究では、中学1年生の英語授業で「食」をテーマにした「Our School Meals Project」にSTEAM化のアプローチで探究した取り組みを紹介し、学習プロセス全体について考察する。科学的分析、数学的データ解析、文化的背景の理解、持続可能性とSDGsとの連携、英語での表現力強化を含む多角的な視点から「食」を探究することが、生徒の学習意欲を喚起し、主体的な学びを通じて知識を深めることにつながったことを示す。またICTツールを活用した協働学習と形成的評価が、個々の学習進捗を促し、生徒の学習プロセス全体を効果的であったことを明らかにする。

A-2)「東京都公立学校におけるSTEAM教育の推進」
桜庭 望(八洲学園大学)

文部科学省では、STEAM教育等の各教科等横断的な学習を推進している。東京都公立学校約2,100校における初等中等教育のSTEAM教育の位置づけや取り組み状況を62区市町村の教育振興基本計画等から読み解き、教育委員会が指し示す方向性とともに学校教育目標への反映状況や個別の実践事例等から東京都公立学校におけるSTEAM教育の広がり状況と今後に向けた課題等について考察を行っていく。

A-3)「想像性とコーディングを組み合わせた宇宙教育に関するSTEAM教材の紹介~KOOV®とSPRESENSE™を使った中学校技術科の授業実践を中心にして~」
沼田 和也(同志社中学校)

 本報告は、生徒たちの宇宙に関する興味関心を広げながら、一般的なプログラミング教材ではなく、人工衛星などに搭載されている本物のSPRESENSE™を使ってプログラミング授業を行った実践を報告するものである。技術科の授業だけでなく、学外の生徒たちとともに学ぶ課外の教育活動も行った。論理的で合理的なプログラミング学習において、生徒の想像力や創造性を育む教育題材を設計した。一定の成果をここに報告する。

A-4)「算数におけるアルゴリズム的思考を育む授業実践 -Scratch用いた多角形の作図課題を通して-」
遠藤 浩之、谷川 夏菜子、日下 智志(鳴門教育大学大学院)

本研究の目的は、児童がアルゴリズム的思考を活用する授業とはどのようなものかを追求することである。小学校6年生を対象に,アルゴリズム的思考の理解とScratchの基本操作習得,図形をかくプログラムの学習,レベル別作図課題という全3回の授業を行った。結果として,児童がアルゴリズム的思考を働かせるために,アルゴリズム的思考の概念理解,各教科で習得した知識の活用,課題解決方法の自己決定という三つの必要性が示唆された。

 

■一般発表 分科会B 
座長:佐藤 幸江(放送大学)

B-1)「ロボットサイエンス教育を通して中高生が獲得した能力の検証」
福田 哲也(追手門学院大学)、中条 貴夫(追手門学院)、上田 悦子(鹿児島工業高等専門学校)

社会課題の解決を目指したロボット開発をロボットサイエンス教育と定義し、長期にわたる教育活動の中で、生徒たちが培った資質・能力について、OECDのキーコンピテンシーと照合しながら、検証を行った。その結果、ロボットサイエンス教育は、プログラミングスキル等の育成だけでなく、やり抜く力や協働性などの非認知能力の育成にも寄与することを示唆するとともに、卒業後の人生にも大きな影響を及ぼすことが明らかになった。

B-2)「持続可能な社会に必要な科学的な探求活動の検討」
江連 知生(品川区立豊葉の杜学園)、佐藤 真輔(茨城県神栖市立神栖第二中学校)

理科の学習では日常生活と密接に関連をしていることを生活経験を通して理解している。これからの予測不可能な時代において、持続可能な社会にしていくためにエネルギーは必要不可欠である。理科のエネルギー学習を通して、「次世代へつながるエネルギーの生産方法や、持続可能な社会にしていくために必要な科学技術は何か。」を探究する目的として授業実践を行った。資料の活用や、問題解決に向けて生徒が主体的に学習に取り組み、日常生活へと還元する姿勢が得られた。

B-3)「小学校課外活動における問題解決的な学びの場づくりの実践と問題発見時における児童の状況の特徴抽出」
田中 若葉(東京学芸大学大学院)、金子 嘉宏、吉村 健志(東京学芸大学)、大谷 忠(東京学芸大学大学院)

実社会での問題発見・解決的な学習としてSTEAM教育が注目されている。ところが,問題発見・解決のプロセスにおいて,問題発見の困難さが課題である。また,このような活動では,教員の支援だけでなく地域の団体等との連携の促進が必要となる。そこで本研究では,小学校課外活動における問題解決的な学びの場作りの実践を試みた。その結果,地域人材を活用した活動を実施できた。また,問題発見時における児童の状況の特徴として,個人の思いに留まる場合から,他者の思いと調整して進める場合も認められた。

B-4)「数理資本主義の時代における理数系教員確保に関する一考察」
古川 慎一郎(株式会社iコンフォート)

近年、数理資本主義の出現により若手の数理技術者の育成が急務であるにも関わらず、肝心の中高の数学科教員の確保が特に困難な状況にある。数理技術者の需要の高まり、教員希望者の減少、その結果若手数理技術者の不足という負のスパイラルに陥っているのだ。このような状況を鑑み問題点を明らかにし、理数系教員を確保し、優秀な数理技術者を十分に社会に提供するための方策を提案したい。

 

■一般発表 分科会C 
座長:小林 祐紀(茨城大学)

C-1)「高校化学で反応機構を有機電子論で指導する意識調査および留意点」
野口 大介(長崎大学大学院)、永田 芳弘(長崎大学)

高校化学では有機化学を学ぶ際にそのしくみにはほとんど触れられず,ただ暗記するだけとの指摘があった。しかし現行の学習指導要領のもとでは,反応機構にまで踏み込んで説明した教科書が出版されている。現職の高校教員に対してアンケートによる意識調査を行ったところ,有効性を支持する意見と,どちらとも言えないとの意見が,ほぼ半数ずつを占めた。実際に起こっているとは考えづらい反応機構に留意しつつ,今後も有効性を議論する必要があるだろう。

C-2)「DX人材育成のためのリスキリング教材開発」
森田 康(株式会社GRIPS)

弊社では、DXを事業として取り組む人材を社内で育成する企業向けに教育、研修コンテンツの開発と講習会の企画、運営を手掛けている。筆者らが実際に提供したモノづくりの現場向けのSTEM教育、特にロボットアームとオープンソース技術の習得を目的とした研修を通して、STEM教育における能力育成という観点から、実際の教材、研修における能力開発の課題抽出を試みた。

C-3)「1人1台端末を活用し家庭学習に取り組むことを前提とした小学校社会科の単元開発」
渡辺 陽那、小林 祐紀(茨城大学)

本研究の目的は、1人1台端末及び汎用クラウドツールを用いて家庭学習に取り組むことを前提とした小学校社会科の学習単元を開発することである。小学校第5学年社会科「米づくりのさかんな地域」の単元において、授業と家庭学習の連動を意図し、タブレット端末を活用した単元開発を行った。その結果、授業とのつながりと児童の主体性を意識し、学校外の場であってもタブレット端末の利点を活かした単元開発を行うことができた。

C-4)「小学校における1人1台端末を活用した家庭学習の類型化」
海老原 りん、小林 祐紀(茨城大学)

本研究の目的は,端末を活用した家庭学習を類型化し,1人1台端末を活用したこれからの家庭学習について考察することである。一般的に入手可能な書籍や自治体の事例集を使用し,89の事例を質的研究の手法を用いて分析した結果,7つのカテゴリーと17のサブカテゴリーが導出された。類型化した結果を踏まえ,知識技能だけではなく,児童の興味関心を育てる家庭学習を提案するに至った。