2022-03-02 | EVENTS / ACTIVITIES
2022年3月5日(土)開催の「日本STEM教育学会 拡大研究会【オンライン開催】」の一般発表/SIG発表の内容を掲載いたします。
予稿を掲載いたしました(2022.3.3)
開催概要・プログラム内容および参加お申し込みは、こちらよりご確認ください。
■一般発表 分科会A
座長:真山茂樹(東京学芸大学)
A-1)「STEAMを内包する伝統的染織技術の教育教材としての可能性」
加藤結理子((一社)千總文化研究所),下郡啓夫(函館工業高等専門学校)
伝統的染織技術の背景にある、人の創造性・探究性に焦点を当てた新しいSTEAM教育プログラムについて実践報告をする。具体的には、①友禅染の色づくりのワークショップと職人との対話、②手描き友禅、手捺染、インクジェットプリントの3つの染色技術における人の手しごとと機械の技術の比較検証である。これらは、様々な学問分野を内包する染織技術の歴史と文化的背景を、VisibleThinkingならびに知識構成型ジグソー法を用いて深く観察、分析を行った上で実施された。
A-2)「STEAM教育の視点を取り入れたオンラインによる探究型授業デザインの考察」
反田 任(同志社中学校)
海洋プラスティック・マイクロプラスティック問題をテーマに、グローバル教育とSTEAM教育の視点を含めながら、探究型授業をすべてオンラインで行なった。課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現、英語で発表という「探究のプロセス」をベースに授業を進めたが、授業の事前事後の生徒アンケートの結果によると「世界的な社会問題への解決」や「テクノロジーを活用し革新的なことに取り組む」という点において生徒の意識が大きく変化した。授業での活動を紹介しながら、生徒アンケート結果の分析と関連させて授業デザインについて考察する。
A-3)「科学的探求を基にグローバルコンピテンス育成を図るSTEM教育」
真山茂樹(東京学芸大学),熊谷あすか(東海大学付属相模高等学校),里見研吾(東京学芸大学),Mathew Julius (セントクラウド州立大学),Karthick Balasubramanian (アグハルカル研究所),加藤和弘(放送大学),大森 宏(東京大学大学院)
先進国と途上国の生徒が科学的探求を通して,それぞれの国の河川の水質汚染の歴史的変遷と理由を理解し,さらに風習,社会制度,市民意識などを主体的に学び,環境問題の解決となるアクションプラン作成を目指す授業を日本,インド,米国で段階的に実践してきた。教材としてオンラインシミュレーター,過去と現在の河川から得た生物標本,動画および写真を使用し,生徒による調べ物学習を含め,生徒自身が問題の解決方法を考えた。
■一般発表 分科会B
座長:佐藤幸江(放送大学)
B-1)「「防災×テクノロジー」をテーマにしたSTEAM授業実践と評価」
宮 和樹((株)ベネッセコーポレーション/(特非)教育テスト研究センター),北澤 武((特非)教育テスト研究センター/東京学芸大学大学院),住谷 徹((特非)教育テスト研究センター)
(株)ベネッセコーポレーションは,2020年度に経済産業省「未来の教室」STEAMライブラリー事業に参画し,「防災×テクノロジー」をテーマにしたSTEAM授業のための教材を作成した。本研究では,この教材を用いた2つの授業実践とその評価を行った。その結果,この教材によって生徒の「防災」や「STEAM教育」への理解や関心を高められる可能性が示された。
B-2)「モデルロケットを活用したSTEM教育の試行的実践」
佐藤正直(北海道教育大学),石川智浩(北海道教育大学),渡辺理文(北海道教育大学),佐藤 敦(北海道教育大学附属札幌中学校),髙畠 護(北海道教育大学附属札幌小学校)
北海道では民間事業者によるロケット打ち上げなどが行われており,子どもたちにとってもロケットや宇宙開発といった話題が身近になりつつあり興味を引く題材の一つでもある。海外では火薬で打ち上げるモデルロケットを教材として活用した教育が行われてきたが,我が国においては火薬類の取り扱いに関する法規制や打ち上げ場所の確保などの課題があり,モデルロケットを活用した教育が普及しなかった経緯がある。しかし,北海道においては打ち上げ場所の確保が容易なことから,モデルロケットを活用したSTEM教育に関する試行的実践を行い,子どもたちの反応や教育効果を検証することとした。
B-3)「専門的知識をもつ人材と教員とのペアによるプログラミング学習における児童の知識技能・モチベーションについての分析」
高谷浩輔(放送大学大学院),佐藤幸江(放送大学),中川一史(放送大学)
プログラミング教育を行う上で,専門的知識をもつ人材と教員とのペアでティームティーチングを組み,学習を主で進める立場と補助で進める立場を交代し合うことで,学習者の知識技能やモチベーションにどのような違いが生じるのかを明らかにした。その結果,両者が主・副のいずれの立場をとっても,学習者の知識技能の向上およびモチベーションは高い傾向を示し,大きな差異は見られないことが明らかになった。
B-4)「図画工作科におけるプログラミングを取り入れた単元開発」
佐藤幸江(放送大学),中川一史(放送大学)
本研究においては光に焦点を当て,プログラミングによるプロジェクションマッピングという新しい表現を図画工作科の教材として導入することをめざし,具体的な単元構成を検討した。本稿では,透明性のある光を材料にして,場の特徴を生かしてカラフルワールドを発想し,光を動かしたり消したりして,さらにイメージを広げていくという「造形遊び」の単元開発のプロセスを記述した。子どもたちが相手意識や目的意識をもって,試行錯誤しながらイメージを広げる学習過程の実現を明らかにした。
■一般発表 分科会C
座長:小林祐紀(茨城大学)
C-1)「児童の振り返りを蓄積し授業改善を支援するWebアプリの開発と試用」
小林祐紀(茨城大学),福田 晃(金沢大学附属小学校),中川一史(放送大学),森下純一(スズキ教育ソフト(株)),爲 聰隆(スズキ教育ソフト(株)),鈴木広則(スズキ教育ソフト(株))
本研究の目的は,児童の振り返りを蓄積し授業改善を支援するWebアプリを開発し,試用を通じて収集したデータの実際及び授業者が感じた成果と課題を提示することである。検証の結果,児童は授業時間だけにとどまらず入力可能な時間を見つけ多様な時間に入力していることが明らかとなった。また,成果として1)授業評価にかかる手間が削減されたこと。2)児童一人一人といった個人の変容を把握しやすくなったこと。3)児童一人一人の記録は,授業者だけではなく児童自身も確認することができ,自らの学びを見直すきっかけになり得ること。課題として,任意の集団ごとに記録を確認できる仕組みの必要性が指摘された。
C-2)「学校教育へのSTEAM教育の導入における支援方法の分析-公立小学校への導入初期の事例をもとに-」
木村優里(明治学院大学),辻 宏子(明治学院大学),森田裕介(早稲田大学)
本研究の目的は,学校教育にSTEAM教育を導入する際の参考事例を示し,その事例における導入過程を明らかにすることである。そこで,今年度からSTEAM教育の導入を試みた公立小学校を対象に,STEAM教育導入時の支援方法を分析した。その結果,実施時期の検討の必要性,教材を十分に活用するための支援の必要性,人的支援(機材トラブルへの対応や授業準備,授業中の個別対応)とその充実の必要性が示された。
C-3)「大学と学校や地域との共創による教育実践」
森 晶子(東京大学)
東京大学先端科学技術研究センターは、40にのぼる広範囲かつ学際的な分野が集積し、自治体との連携も盛んである。これまで、次世代育成やアウトリーチ活動は研究室単位で行ってきたが、2021年4月、先端研の特色を活かして、STEAM教育等の観点から次世代育成を支援するためのワンストップ機能として、先端教育アウトリーチラボ(通称「AEO」)が発足した。本発表では、AEOの2021年度の実践について報告する。
■一般発表 分科会D(SIG4:STEAM教育研究会)
座長:下郡啓夫(函館工業高等専門学校)
「アート(芸術)の力再考~STEAM教育の効果を最大限に高めるために~」
2018年に経済産業省・特許庁が『「デザイン経営」宣言』という報告書を世に出して以来,イノベーション創出等におけるデザインの重要性が広く認識されるようになってきた。また,アート思考を中心とするアートへの注目度も高まっている。
本セッションでは、上記時流を踏まえ、アート(芸術)の力を再考し、STEAM教育の効果をどのように高めることができるのか、参加者の方々と一緒に考える。
事例発表:
有賀三夏(東北芸術工科大学)
杉原麻美(淑徳大学)
清水輝大(ラーニングデザインファームUSOMUSO/武蔵野美術大学)
コーディネーター:
下郡啓夫(函館工業高等専門学校)
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