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3/8拡大研究会【オンライン開催】一般発表

2025-03-05 | EVENTS / ACTIVITIES

2025年3月8日(土)開催の「日本STEM教育学会 拡大研究会【オンライン開催】」の一般発表の内容を掲載いたします。

開催概要・プログラム内容および参加お申し込みは、こちらよりご確認ください。
 

■一般発表 分科会A
座長:佐藤幸江(放送大学)

A-1)「理科の授業において全生徒が取り組む透明骨格標本の作製」
西川洋史(埼玉県立進修館高等学校)

透明骨格標本は、動物を解体せずに骨格を染色後、周囲の組織を透明化した標本である。微細な骨がそのまま残るため、レントゲン画像のような骨格像をルーペや実体顕微鏡下にて容易に観察することができる。ここでは生徒一人一人が透明骨格標本の作製と観察を行った授業実践について実験器具・機器の準備や展開及び完成した標本の状態など技術的な観点で紹介する。

A-2)「中学校理科における単元を通したデジタルノートの活用が学習内容の定着と生徒の活用に対する意識に及ぼす影響」
西岡遼(ひたちなか市立佐野中学校)、佐藤幸江、中川一史(放送大学)

研究では,中学校理科における単元を通したデジタルノートの活用が学習内容の定着と生徒の活用に対する意識に及ぼす影響を明らかにすることを目的として研究を行った。結果,学習内容の定着を阻害する要因にはならず,時間が経過しても同様であるといえることが明らかになった。また,学習を効率的に行ったり他者と比較や共有をしたりすることに対して,肯定的に捉えていることが明らかとなった。特に,写真や動画を貼り付けることや共有機能を使い生徒同士で情報を共有できる点を有用と捉えていた。

A-3)「Learning by designモデルを用いて数学の役割を明確化することを目指したSTEAM教育の開発と実践―卵パックの製作を題材として―」
石田歩夢(神戸大学大学院)

大谷(2021)などは今の社会におけるSTEAM教育の重要視を述べている一方でSTEAM各教科の内容理解に関する議論は少なく、二宮(2017)はSTEMにおいて数学の内容的側面が位置づいていないことを指摘している。そこで本研究では理論枠組みとしてコロドナー(Kolodner)発案のLearning by design モデルを取り入れることで、数学の知識が創られたり深まったりすることが位置付けられているSTEAM教育を構築・実践し、その効果を検証する。

A-4)「小学校総合的な学習の時間における自己省察を促すSTEM+A教育の実践」
吉村健志、田中若葉、大谷 忠(東京学芸大学大学院)、手塚千尋(明治学院大学)、畑山未央(植草学園大学)、青山和裕(愛知教育大学)、辻 宏子(明治学院大学)

本研究では,小学校総合的な学習の時間において,STEAM教育のA(Art)を芸術的省察による自己省察を伴う活動と捉え,児童の思いを引き出し,その思いに基づく問題発見からSTEMの課題解決活動に接続させる実践を試みた。その結果,探究課題「まちの防災」において,まちや家庭の防災対策の比較によって自己省察を促し,備蓄が足りないという問題の発見から,備蓄を促すためのレシピを考案するという課題の設定・解決活動に接続させることができた。

 

■一般発表 分科会B
座長:谷内正裕(日本STEM教育学会)

B-1)「教職課程におけるSTEAM教育演習の学修効果検証フレームワークの検討」
岩﨑凌一、永田智子、加藤久恵、羽田 潤、山下義史、森山 潤(兵庫教育大学大学院)

教職課程における「STEAM教育演習」の学修効果を検証するためのフレームワークを検討した。「STEAM教育演習」受講生の「STEAM教育の実践に必要な資質能力」8項目は事前事後で比較し,受講後の感想(自由記述)はテキストマイニングと生成AIによる要約に基づいて整理した。その結果,自由記述には学習者としての学びと教師としての学びの両者が含まれており,特に前者を学修効果検証のための質問項目に追加する必要のあることが示唆された。

B-2)「探究・STEAM教育のためのエコシステムにおけるコーディネーターの実践」
森 晶子(東京大学)

エコシステムという概念は、近年様々な視座から捉えられ、教育分野においても用いられ始めているが、その研究は十分に進められていない。本報告では、東京大学先端科学技術研究センター先端教育アウトリーチラボ(AEO)による取組を一つのエコシステムと捉え、多様なステークホルダーとの関係性や具体的なプロジェクトをインキュベートし、連携活動を実現する要として「教育アウトリーチ・コーディネーター」が関与した実践について報告する。

B-3)「学校におけるSTEAM教育推進の課題」
桜庭 望(八洲学園大学)

高等学校においてSTEAM教育を実践する際には,教育方針,カリキュラムマネジメント,教育課程編成,指導法などへの位置づけが必要となり,各学校により多様な方策が進められている。それを実現する教師には,これまでにとりあげられている教育技術や教育経験に加え,異なる資質・能力の向上が求められている。「総合的な探究の時間」に限らず教科横断的な学習を進めていくために必要な教育環境や体制整備とともに,教育現場における実践の蓄積により教師自身にも「協働的な学び」が必要となっている。

B-4)「小学校低学年における教科横断的な教材開発に関する研究」
辻 宏子(明治学院大学)、青山和裕(愛知教育大学)、手塚千尋(明治学院大学)、江草 遼(千葉商科大学)、木村優里(東京科学大学)、北澤 武(東京学芸大学大学院)、竹中真希子(大分大学)、大谷 忠(東京学芸大学大学院)、森田裕介(早稲田大学)

本研究の目的は,小学校低学年における教科横断的な教材の開発,授業実践・評価をすることである.本稿では,第1学年を対象とした提案・実践を報告する.本研究に関するこれまでの検討で,幼児教育との接続,STEAM教育との親和性の点から生活科の位置づけについての検討が妥当であること,数理的要素についての再考,これらを踏まえた,実践の検討が必要であることを指摘している.今回の取り組みの結論として,低学年における生活科を中心とした横断的教材の開発及び実践に対し,算数科・図形領域だけではなく図画工作科を取り入れることの有効性が伺われた.

 

■一般発表 分科会C
座長:大谷 忠(東京学芸大学大学院)、廣部 慧(一般社団法人STEAM JAPAN)

C-1)「小学生を対象とした「自己実現への思い」から自己省察した問題解決活動におけるSTEAM教育の実践」
田中若葉、吉村健志(東京学芸大学大学院)、金子嘉宏(東京学芸大学)、大谷 忠(東京学芸大学大学院)

近年,well-beingの実現と社会課題解決の両立が求められている。この実現に向け,日本ではSTEAM教育が推進されている。そこで,本研究では,A(Art)を,well-beingの考えに含まれる「自己実現への思い」と捉え,この思いから自己省察した問題解決活動を小学生に対して試みた。その結果,児童は,自己実現することの楽しさや自己の成長を実感し,問題解決のやりがいの意識が高まった。このような自己省察が繰り返されることで,自己に内在する思いに気づき,問題解決への探究心や向上心も高まる可能性が考察された。

C-2)「実践STEAM教育の最前線!!大分県・つくば市におけるSTEAM教育の取り組み」
①大分県 STEAM教育推進取り組み
②大分県立国東高等学校 宇宙×STEAM取り組み
③つくば市STEAMコンパス事業取り組み
廣部 慧(一般社団法人STEAM JAPAN)、釘宮隆之(大分県教育委員会)、藪亀尋子(大分県立国東高等学校)、齋藤 航、田山牧子(つくば市政策イノベーション部)

小学生から高校生まで、各世代でSTEAM教育を実践する最前線の現場を紹介します。今回は、大分県全体の取り組み、国東高校の挑戦の取り組み、そしてつくば市の革新的な取り組み事例の3つを発表になります。全国的にも先進的な試みとして注目されるこれらの実践は、今後の各地域・学校における取り組みヒントになるかと考えております。STEAM教育の未来を探る貴重な機会ですので、ぜひご視聴ください。